九州美食研究ブログ

九州地方の郷土料理を食べ歩いたり、調理、研究して紹介するブログです!福岡を中心としたグルメの食べ歩き記録の記事も載せていますので、そちらも是非!

クリスマスの透明人間⁉

焼き鳥屋でアルバイトをしていた頃の話。

 

週末になると大賑わいするような人気の焼き鳥店も、クリスマス当日にもなると少し店

内は落ち着いていました。

夫婦や家族、恋人同士で洋食屋、イタリアン、フレンチなどのレストランに行く人が増

えるのでしょう。

 

そんなクリスマス当日の24時前だったと思います。

ふらりと初老の男性が入店して、

「二人は入れますか。」

と尋ねて来られました。

 

見るとお一人だったので、待ち合わせなのだろうと思い、テーブル席へお通ししました。

そして

「すぐに家内が来ますので」

と言ってビールを2杯と、焼き鳥を数本注文されました。

とても穏やかで、品のある男性でした。

 

 

その直ぐ後から、店内はいきなり混み始めました。

慣れないレストランで肩の凝り始めた若者たちが、気分転換に流れてきたのかもしれま

せん。

一気にお客様が来店されたので、店内は厨房もホールも大慌て。

まだ経験の少なかった私も皿やグラスを何枚も割ながら、店長の怒号に背中を押されな

がら必死で業務をこなしました。

 

泣きそうになりながら小一時間たった頃、

先程の初老のお客様が、お会計をしてお一人で帰られました。

 

「あれ・・・・」

 

忙しさの中よく見ていなかったのですが、確かに追加の料理のオーダーも頂きました

し、ドリンクもお二人分頂いていました。

しかし奥様の姿を私は確認できていませんでした。

 

他のホールスタッフに聞いても、

「私が料理運んだ時は、一人だったよ。奥様はトイレに行っていたのかも。」

「取り皿は出てたし、飲み物もあったけど、トイレに立ってたのかも。」

というので、誰も奥様を確認していませんでした。

 

(そんなにトイレに行くかな。。)

 

トイレはスタッフがいる厨房の真横にありますし、店内への入り口もすぐ目の前、全て

のスタッフの目をかいくぐって入退店することが可能だろうか、可能だとしても何の意

味があるのだろう。

 

やはり気になって店長に報告すると

「そんなわけない。俺の位置から笑いながら話してるのが見えた。お前がぼーっとして

るから見逃しただけだ。」

と、鬼のような顔で言われました。

(あー 怒っているな。何枚も皿割ったし仕方がないけれど・・・)

 

 

店長は「見た」と言いましたが、店長の焼き場の位置からでは、初老の男性は見えて

も、奥様(がいたであろう)席は死角になって確認することは出来ません。

もし、男性が一人で笑って話している場面を想像するとなかなか異様な光景ではありま

す。

 

色々考えたのですが、初老の男性は一人で来られて、一人で帰られたのだろうという結

論です。

 

 

何らかのパフォーマンスで、一人芝居をしていたのか。

それとも、男性には奥様が、見えていたのか。

そもそも深夜に初老の男性が入店することも珍しいので、

もしかしたクリスマスは奥様との何か特別な日だったのかもしれません。

 

 

まさる